コンシェルジュオフィス — 生駒ビルヂング est.1930 / 登録有形文化財
About生駒ビルヂングについて
竣工以来90年あまり
船場の人と街を見つめてきました。
日本一の人口を抱え大大阪と呼ばれた時代から、船場商人の活躍や街の移り変わりを見つめてきました。往時は、時計塔から流れる鐘の音が船場の街に一定のリズムを刻んでいました。90年あまりの時の移ろいの中で風景は随分と変わりましたが、船場・北浜に宿る先進性は変わることなく連綿と受け継がれています。
建築様式
1930年[昭和5年]に竣工した生駒ビルヂングは、流行の最先端であるアール・デコを基調とし、設計者・宗兵蔵氏による細部にまでこだわったモダンな意匠を後世に残しています。
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時計塔
ファサード南東に位置する時計塔は、最上階に文字盤を配し5階から3階にかけて縦に長く出窓があり、2階部分に丸窓があり、振り子をモチーフにデザインされている。
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時計塔のゴング
時計塔の屋上に取り付けられていたものが、一時期、東京のセイコー資料館に寄託陳列されていた。50年の風雪にさらされながらも、澄んだ音色を随分遠くまで響かせていたと伝えられている。
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スクラッチタイルとテラコッタ
外壁タイルは手掻き線入りの別注品。 テラコッタは屋上周りの装飾や各階の窓の上下ライン等に使用され、アールデコの建築様式を強調している。
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鷲の石像
入り口とショーウインドウの上部7ヶ所に置かれた御影石の鷹の彫刻は、「フクロウ」を採用する予定が、往時の日本では夜の鳥として忌避され、勇壮な鷲に変更されたと伝えられている。
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ガラス煉瓦
東、北両入り口の足元にあるガラス煉瓦。現在では傷みも目立っているが、異質の素材を導入するその感性からは往時のモダンなデザインを垣間見ることができる。
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1F正面大理石階段
イタリア産の大理石を使った階段は2Fまで続き、印象的なアプローチとなっている。戦前より続けている赤い絨毯の趣きも個性的だと好評。下から3段目にはアンモナイトの化石が潜んでいる。
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ステンドグラス
装飾用ステンドグラスは、建築当初のものを一部活用した昭和初期の輸入品。西面小窓には「G」と「I」をデザインした小さいステンドガラスもあり、「G.I」は創業者「ゴンシチ・イコマ」のイニシャルである。
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天井・柱
高い天井、深い梁や柱上部のアールデコ調の装飾など、内装もみどころ。中央にある2本太い柱は館内を重厚に見せている。かつて、目地には「純金粉塗」を採用していたことが判っている。
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エッチングのガラス・ボード
1991年改修の際に新設したものだが、そのアールデコ調のデザイン意図は設計者・宗兵蔵氏のデザインをそのまま活かしたもので、時計機械の断面ではないかと考えられている。
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照明器具
1階と2階への階段の壁面に当初の照明器具が残っている。形状はアールデコ調の凝ったデザインで、同様のデザインの器具が1階の天井にもあり、統一性にこだわりが見える。
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エレベーター
現在使用していない1階の「北向のドア」(今のエレベーター入り口の右側面)は往時のまま。上部の大理石で囲った回転式インジゲーターとともに完全保存されている。